はじめに
WordPressサイトを運営する際には、セキュリティ上の問題が常に懸念されます。攻撃を受けた場合、サイトにアクセスできなくなるだけでなく、貴重なデータを失う可能性もあります。そのため、WordPressサイトを運営する人は、常にサイトを守るための最善策を考える必要があります。
その最善策のひとつが「定期的なバックアップ」です。WordPressのバックアップを定期的に実行することで、攻撃やデータの損失に備えることができます。この記事では、WordPressサイトを守るために定期的なバックアップがどのように重要か、どのように実行するか、その際に遵守すべきベストプラクティスについて解説します。
WordPressのバックアップとは
WordPressのバックアップには、以下のような手動でバックアップする方法とプラグインを使用しバックアップする方法があります。
- 手動バックアップ：FTP（File Transfer Protocol）ソフトウェアを使用して、WordPressサイトのデータをコピーして保存する方法です。
- プラグインを使用したバックアップ：WordPressプラグインを使用して、自動的にバックアップを作成する方法です。
手動バックアップは、バックアップの作成に必要な手順が多いため、初心者には少し難しいかもしれません。しかし、プラグインを使用したバックアップは、自動的にバックアップを作成するため、手軽にバックアップを実行することができます。
バックアップは、データをコピーして保存することで、WordPressサイトを守るための重要な手段のひとつです。定期的なバックアップを実行することで、WordPressサイトを攻撃や障害から守り、データを失うリスクを低減することができます。
バックアップの種類
WordPressのバックアップには、以下のような種類があります。
- フルバックアップ：
サイトの全てのファイルとデータをバックアップする方法です。この方法は、サイトを完全に復元することができるため、最も安全な方法です。しかし、ファイルサイズが大きくなり、バックアップの実行に時間がかかることがあります。
- 選択的バックアップ：
特定のファイルやデータのみをバックアップする方法です。この方法は、ファイルサイズが小さく、バックアップの実行が速いことが利点です。しかし、バックアップしたいファイルを選択する必要があるため、手間がかかることがあります。
- 差分バックアップ：
最初のフルバックアップを取った後、前回のバックアップから変更されたファイルのみをバックアップする方法です。これにより、バックアップファイルのサイズを小さくし、バックアップの実行時間を短縮することができます。
- インクリメンタルバックアップ：
最初のフルバックアップを取った後、前回のバックアップから変更されたファイルだけでなく、前回のバックアップ以降に新しく追加されたファイルも含めてバックアップする方法です。これにより、差分バックアップよりもさらにバックアップファイルのサイズを小さくし、バックアップの実行時間を短縮することができます。
WordPressのバックアップには、これらの種類のうち、フルバックアップと選択的バックアップが最も一般的に使用されています。定期的にバックアップを取ることで、WordPressサイトを守るための大切な手段のひとつとなります。
WordPressのデータを失うリスク
WordPressサイトが攻撃を受けた場合、データが失われるリスクがあります。攻撃者がサイトに侵入し、データを破壊したり、改ざんしたり、暗号化したりすることがあります。また、サイトがマルウェアに感染することもあります。これらの攻撃によって、サイトに保存されているデータが消去されたり、機能しなくなったりすることがあります。
たとえば、ハッカーがWordPressサイトに侵入し、WordPressのテーブルから情報を削除した場合、サイトの記事、コメント、ユーザーデータなどが失われる可能性があります。このような攻撃が発生した場合、データを復元するためにバックアップを使用することができます。
また、WordPressサイトが攻撃を受けた場合、攻撃者はサイトをダウンさせることができます。攻撃者は、サイトを直接攻撃することも、ホスティングサービスを攻撃することもあります。サイトがダウンした場合、訪問者はサイトにアクセスできず、検索エンジンの評価も下がることがあります。
定期的なバックアップを取ることで、WordPressサイトが攻撃を受けた場合でも、データを復元することができます。また、攻撃が発生した場合でも、バックアップを使用してサイトを復旧することができます。定期的なバックアップを実行することは、WordPressサイトを守るために非常に重要な手段のひとつです。
データを失うと
WordPressサイトでデータを失うことは、多くの影響を与える可能性があります。以下に、データが失われた場合に起こりうる影響の例を挙げます。
- 訪問者の離脱：
ウェブサイトは、ユーザーが利用する情報を提供するためのものです。もし、サイトが攻撃を受けて、ユーザーデータが失われた場合、訪問者はサイトを離れてしまうことがあります。
- SEOランキングの低下：
検索エンジンは、サイトの品質を判断するために、コンテンツや内部リンク、外部リンクなどの様々な要素を評価しています。もし、サイトが攻撃を受けて、コンテンツや内部リンク、外部リンクが失われた場合、SEOランキングが低下することがあります。
- ユーザーのプライバシー侵害：
WordPressサイトには、ユーザーの個人情報や機密情報が含まれることがあります。攻撃者がサイトに侵入し、これらの情報を取得することができると、ユーザーのプライバシーが侵害される可能性があります。
- 収益の低下：
WordPressサイトは、広告やアフィリエイトプログラムなどを通じて収益を得ることができます。もし、サイトが攻撃を受けて、収益を生む要素が失われた場合、収益が低下することがあります。
以上のように、WordPressサイトでデータを失うことは、様々な影響を与える可能性があります。これらの影響を回避するために、定期的なバックアップを実行することが非常に重要です。
定期的なバックアップの重要性
WordPressサイトを守るために、定期的なバックアップを実行することが非常に重要です。以下に、その理由を説明します。
- ハッカーやマルウェア攻撃からデータを守る：
定期的なバックアップを実行することで、サイトが攻撃を受けた場合でも、データを復元することができます。バックアップがない場合、攻撃によってデータが破損または削除された場合、データを復元することができず、サイトが復旧するまで多大な時間と労力がかかることがあります。
- 外部サービスの問題からデータを守る：
WordPressサイトは、外部サービスとの連携を行うことがあります。例えば、メールサービスやクラウドストレージなどです。外部サービスに問題が発生した場合、WordPressサイトのデータが失われる可能性があります。定期的なバックアップを実行することで、外部サービスの問題によって失われたデータを復元することができます。
- プラグインやテーマのアップデートの失敗からデータを守る：
プラグインやテーマのアップデートを実行すると、データが破損したり、消失したりする可能性があります。定期的なバックアップを実行することで、アップデートによって失われたデータを復元することができます。
- 開発中の失敗からデータを守る：
WordPressサイトを開発する場合、新しい機能を追加したり、デザインを変更するために、コードを書き換えたりすることがあります。このような開発作業中にデータが失われる可能性があります。定期的なバックアップを実行することで、開発作業中に失われたデータを復元することができます。
以上のように、定期的なバックアップを実行することで、WordPressサイトを守ることができます。失われたデータを復元するために、バックアップを定期的に行うことが大切です。
頻度や期間について
WordPressサイトを守るためには、定期的なバックアップを実行することが重要です。バックアップの頻度や期間については、以下のようなことに注意する必要があります。
- バックアップの頻度：
頻繁なバックアップを行うことが重要です。具体的には、週に1回以上、1日に1回以上の頻度でバックアップを行うことが望ましいとされています。バックアップの頻度は、サイトの更新頻度や重要度、またバックアップにかかる費用や労力などを考慮して決定する必要があります。
- バックアップの期間：
バックアップしたデータを保存しておく期間も重要です。データを保管する期間は、企業の方針や業界のルール、法的な要件などによって異なります。一般的には、1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年などの期間で保存することが一般的です。また、データを保存する場所も重要です。オンラインストレージやクラウドストレージ、外付けハードディスクなど、複数の場所に保存することが望ましいです。
- 自動バックアップ：
手動でバックアップを実行する場合、バックアップを行うのを忘れたり、面倒だと感じたりすることがあります。そのため、自動バックアップを行うことで、バックアップを継続的に行うことができます。自動バックアップには、プラグインを使用する方法や、サイトホスティングサービスが提供する自動バックアップ機能を使用する方法などがあります。
バックアップの頻度や期間については、サイトの重要度や更新頻度に応じて決定する必要があります。また、自動バックアップを行うことで、手動でバックアップを実行する手間やミスを減らすことができます。定期的にバックアップを実行することで、データの保護を確実に行い、WordPressサイトを安全に運用することができます。
WordPressのバックアップの方法
WordPressのバックアップ方法を紹介
WordPressのバックアップを実行する方法には、手動バックアップとプラグインを使用したバックアップなどがあります。以下では、それぞれの方法について説明します。
手動バックアップ
手動バックアップは、FTPソフトウェアやコマンドラインツールを使用して、WordPressのファイルとデータベースを手動でバックアップする方法です。手動バックアップを実行する場合、以下の手順を実行します。
- WordPressファイルのバックアップ：WordPressのファイルをバックアップするには、FTPソフトウェアを使用して、WordPressのインストールフォルダ内のすべてのファイルをローカルにダウンロードします。または、コマンドラインツールを使用して、WordPressフォルダをアーカイブファイルに圧縮して保存します。
- データベースのバックアップ：データベースをバックアップするには、phpMyAdminなどのデータベース管理ツールを使用して、WordPressのデータベースをエクスポートします。または、コマンドラインツールを使用して、データベースをエクスポートして保存します。
手動バックアップは手間がかかりますが、無料で実行できるため、小規模なサイトや個人ブログのオーナーには適しています。
プラグインを使用したバックアップ
プラグインを使用する方法は、手動バックアップよりも簡単で便利です。プラグインを使用する場合、以下の手順を実行します。
- プラグインのインストール：バックアッププラグインをWordPressにインストールし、有効にします。
- バックアップの設定：プラグインを使用して、バックアップの頻度、保存場所、データベース、ファイルのバックアップなどを設定します。
- バックアップの実行：バックアップを実行するには、プラグインの設定ページから手動でバックアップを実行するか、自動バックアップを設定することができます。
バックアッププラグインは、無料または有料のものがあり、機能や安全性、サポートなどによって異なります。一般的に、有料のプラグインの方が機能が充実している場合があります。
WordPressのバックアップ方法は、手動バックアップやプラグインを使用したバックアップなどがあります。
適切なバックアップ方法を選択するためには、ウェブサイトの性質、サイズ、トラフィック量、コンテンツの重要度、予算などを考慮する必要があります。
手動バックアップは、技術的な知識が必要で、作業が手間取ることがありますが、セキュリティ上の問題が発生する可能性は低いという利点があります。
一方、プラグインを使用したバックアップは、技術的な知識が不要で、簡単に設定できますが、プラグインの不具合やセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。また、プラグインによっては、データベースのバックアップが不十分であったり、バックアップデータが破損したりすることがあります。したがって、信頼性の高いプラグインを選択することが重要です。
それぞれの方法のメリット・デメリット
手動のバックアップ
メリット
- セキュリティリスクが低い：手動バックアップは、外部のシステムやプラグインを使用せず、サイトのコントロールを維持することができます。そのため、セキュリティ上のリスクが少なくなります。
- 安価：手動バックアップは、サイトのデータをローカルストレージやクラウドストレージなどに保存するだけなので、追加の費用がかかりません。
- 完全なコントロール：手動バックアップによって、バックアップファイルの場所や頻度など、全ての設定を自由に制御することができます。
デメリット
- 手間がかかる：手動バックアップには、バックアップを実行するために手動で作業をする必要があります。定期的なバックアップを行う場合は、作業量が多くなる可能性があります。
- エラーの可能性が高い：手動バックアップは、人為的ミスによってバックアップファイルが破損したり、保存されなかったりする可能性があります。
- 技術的な知識が必要：手動バックアップを実行するには、FTPやSSHなどの技術的な知識が必要になる場合があります。
プラグインを使用したバックアップ
メリット
- 簡単に設定できる：プラグインを使用したバックアップは、ウェブサイト管理者にとって簡単なオプションです。一般的には、インストールしてアクティブにするだけでバックアップが実行されます。
- 自動化されたスケジューリング：プラグインによって、定期的な自動バックアップを実行することができます。
- 拡張性：多くのプラグインには、バックアップファイルをダウンロードしたり、外部ストレージに保存したりするオプションがあります。
デメリット
- セキュリティリスクが高い：プラグインはサードパーティー製であるため、セキュリティ上のリスクがある場合があります。
- コストがかかる：高機能なプラグインは有料であり、使用するために追加費用が必要になる場合があります。 ・互換性の問題：ウェブサイトのテーマや他のプラグインとの互換性が問題になることがあります。
- 制限されたコントロール：プラグインによっては、バックアップファイルの場所や頻度などの設定を制限されることがあるため、全ての設定を自由に制御できない場合があります。
バックアップを実行する際のベストプラクティス
WordPressサイトのバックアップを定期的に実行する際には、以下のベストプラクティスに従うことが重要です。
- バックアップを複数の場所に保存する：
バックアップを1つの場所に保存すると、その場所が失われた場合にバックアップが失われる可能性があります。そのため、バックアップを複数の場所に保存することが望ましいです。
- バックアップファイル名をわかりやすくする：
バックアップファイル名をわかりやすくすることで、必要なバックアップをすぐに見つけることができます。
- バックアップのスケジュールを設定する：
バックアップを定期的に実行するために、バックアップのスケジュールを設定することが重要です。例えば、毎週月曜日の夜にバックアップを実行するなど、定期的なスケジュールを設定しましょう。
- バックアップを自動化する：
手動でバックアップを実行することもできますが、自動化することで忘れることなくバックアップを実行することができます。また、バックアップを自動化することで、人為的ミスのリスクを軽減することができます。
- テストリストアを行う：
バックアップを作成しただけでは、実際にバックアップから復元できるかどうかはわかりません。そのため、定期的にテストリストアを行い、バックアップからの復元ができることを確認することが重要です。
以上のベストプラクティスに従うことで、WordPressサイトのバックアップをより効果的に実行することができます。
実際に行う際に注意するべきポイント
WordPressサイトのバックアップを実行する際には、以下のポイントにも注意する必要があります。
- バックアップを保存する場所に注意する：
バックアップを保存する場所は、安全かつアクセスしやすい場所を選ぶ必要があります。クラウドストレージなど、外部のストレージサービスを利用する場合は、アクセス制限や暗号化などのセキュリティ対策を十分に行いましょう。
- プラグインの選択に注意する：
プラグインを使用する場合は、信頼性の高いプラグインを選択することが重要です。また、プラグインのインストールやアップデートについては、最新のセキュリティ対策が施されたものを使用するようにしましょう。
- バックアップファイルの暗号化について考える：
バックアップファイルには、サイトの機密情報が含まれている場合があります。そのため、バックアップファイルの暗号化を行うことで、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを軽減することができます。
- システムのリソースを考慮する：
バックアップを実行する際には、サーバーのリソースを消費するため、サイトのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。そのため、バックアップを実行する時間帯や頻度について、サイトのトラフィックやリソース利用状況を考慮しましょう。
以上のポイントにも注意し、適切なバックアップを実行することで、WordPressサイトをより安全に保護することができます。
バックアップを行う前に必要な準備
WordPressサイトのバックアップを行う前には、以下のような準備が必要です。
- バックアップを行う前にサイトを更新する：
WordPressサイトにセキュリティパッチやアップデートがある場合は、バックアップを行う前にそれらを適用しましょう。これにより、サイトのセキュリティを向上させることができます。
- 不要なデータやプラグインを削除する：
WordPressサイトに不要なデータやプラグインがある場合は、それらを削除することでバックアップのサイズを小さくし、バックアップの実行時間を短縮することができます。
- バックアップを行う前にキャッシュをクリアする：
WordPressサイトにキャッシュを使用している場合は、バックアップを行う前にキャッシュをクリアすることで、正確なデータをバックアップすることができます。
- バックアップを実行する前にテストする：
バックアップが正常に動作することを確認するために、実際にバックアップを実行して復元するテストを行うことが重要です。
以上の準備を適切に行うことで、バックアップの品質を向上させることができます。また、バックアップを行う前には、必ず現在のサイトの状態について理解し、どのようなデータをバックアップする必要があるのかを確認しましょう。
まとめ
WordPressの定期的なバックアップはサイトを守るために非常に重要です。手動バックアップとプラグインを使用したバックアップの両方の方法がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。定期的なバックアップを実行する際には、ベストプラクティスに従い、十分なスペースを確保し、安全な場所にバックアップを保存することが重要です。また、バックアップを行う前にサイトをアップデートし、セキュリティ対策を行うことも大切です。
