はじめに
はじめに、Webアナリティクスの世界では、Googleが提供する「UA（Universal Analytics）」から「GA4（Google Analytics 4）」への移行が進んでいます。UAは2012年にリリースされたWebアナリティクスのツールであり、多くの企業やウェブサイトにおいて長年にわたって活用されてきました。しかし、ユーザー中心の分析の必要性の高まりや、新たなデバイスやテクノロジーの普及に伴うデータの複雑化などがあるため、GoogleはUAからGA4への移行を進めています。
GA4は、UAとは異なるアーキテクチャを採用し、より柔軟でスケーラブルなデータモデルを提供しています。さらに、ユーザーの行動の予測や、AIによる分析の活用などの新しい機能も加わっています。本記事では、UAとGA4の概要について説明し、UAからGA4への移行の背景についても解説します。
UAとGA4の機能の違い
UAとGA4では、データ取得の仕組みや測定方法、イベントトラッキングなどの機能に違いがあります。以下に詳しく説明します。
- データ取得の仕組みの違い
UAでは、Googleが提供するJavaScriptコード（通称：トラッキングコード）をWebページに埋め込むことで、データを取得していました。一方、GA4では、Firebase SDKを使用することで、モバイルアプリやWebサイトなど、さまざまなプラットフォームからのデータを集約することができます。このため、データの取得がより柔軟かつスケーラブルになっています。
- ユーザーの測定方法の違い
UAでは、クッキーを使用してユーザーを識別していました。しかし、モバイルアプリなど、クッキーをサポートしていない環境では、正確な測定ができませんでした。一方、GA4では、ユーザーIDを使用してユーザーを識別することができます。これにより、クロスデバイスの測定がより正確に行えます。
- イベントトラッキングの違い
UAでは、イベントトラッキングがカテゴリ、アクション、ラベルの3つのフィールドで構成されていました。一方、GA4では、パラメーターを使用してイベントをカスタマイズすることができます。例えば、アプリ内でのスクロールや動画の再生など、より細かいイベントをトラッキングできるようになりました。
- その他の機能の違い
UAでは、タグマネージャーを使用して、トラッキングコードの設置やイベントトラッキングの設定を行っていました。一方、GA4では、Google Tag ManagerやFirebaseの機能がすでに組み込まれているため、より簡単に設定できます。また、GA4では、AIを活用した分析や、カスタムデータセットの作成など、新しい機能も追加されています。
以上が、UAとGA4の機能の違いの概要です。それぞれの機能についてより詳しく理解し、適切に活用することが、より効果的なWebアナリティクスの実践につながります。
GA4のレポートの変化
GA4では、UAとは異なるアプローチが取られており、よりユーザー中心のアプローチが採用されています。そのため、GA4のレポートにはUAとは異なる変化があります。
まず、UAでは「セッション」単位でデータが収集・分析されていましたが、GA4では「ユーザー」単位でデータが収集・分析されます。つまり、ユーザーがどのような行動をとったかを個別に追跡し、それを分析することができます。
また、GA4では、データを分析する際に新しい指標やレポートが導入されました。例えば、「イベント」レポートでは、イベントの発生頻度や種類、ユーザー属性との関係性を確認することができます。また、「エクスプローラー」レポートでは、ユーザーの行動パスやコンバージョンへの進捗状況をグラフィカルに表示することができます。
さらに、GA4では、ユーザーエクスペリエンスを向上させるための新しい指標やレポートが導入されました。例えば、「全体的なエンゲージメント」レポートでは、ユーザーがWebサイトやモバイルアプリでどの程度エンゲージメントしているかを把握することができます。これにより、ユーザーエクスペリエンスの改善に役立てることができます。
以上のように、GA4ではUAとは異なるレポートの見方が導入され、よりユーザー中心のアプローチが取られています。これらの新しいレポートをうまく活用することで、より深い分析や効果的な改善策の立案が可能になります。
GA4による効果的な改善策
GA4には、UAとは異なる新しい機能が導入されており、その中にはWebサイトやアプリの改善に役立つものがいくつかあります。
まず、GA4では、ユーザーの行動を予測する機能があります。これにより、ユーザーがどのような行動をとるかを予測し、それに合わせた改善策を立案することができます。たとえば、ユーザーがある商品ページを訪れた場合、そのユーザーがその商品を購入する可能性が高いかどうかを予測し、それに応じたアプローチをとることができます。
また、GA4では、AIによる分析の活用が進んでいます。これにより、従来よりもより精度の高い分析が可能になります。たとえば、AIによるセッションの分類や、自動的に最適なコンバージョンイベントの選択などが行われ、これによって、効果的な改善策の立案が可能になります。
さらに、GA4では、カスタムデータセットの導入が行われています。これにより、自社のビジネスに合わせたデータを収集し、それを分析することができます。たとえば、自社で使用している特定のツールのデータをGA4に統合することができ、それをもとに改善策を立案することができます。
以上のように、GA4には、ユーザー行動の予測、AIによる分析の活用、カスタムデータセットの導入など、Webサイトやアプリの改善に役立つ機能が導入されています。これらの機能をうまく活用することで、より効果的な改善策の立案や施策の評価が可能になります。
UAとGA4の今後の展望
Webアナリティクスの方向性の変化
Googleは、より高度な分析機能を提供するために、ユーザーの行動に対する深い理解を得ることを目指しています。そのため、UAからGA4に移行することで、従来のウェブ解析からユーザー中心のアプローチへと移行しています。これにより、ユーザーの行動を追跡して、より詳細で貴重なインサイトを提供できるようになります。
GA4の今後の改善予定
GA4では、Googleは引き続き改善を進めています。現在、GA4にはUAにはない新しいレポートがありますが、今後も追加される予定です。また、現在はテスト中であるが、より柔軟性のあるカスタムメトリックや、APIの拡張、改善されたAI機能などの追加も期待されています。
GA4への移行がもたらす影響
GA4への移行により、ウェブ解析の精度が向上し、より多くのインサイトを得ることができるようになるでしょう。しかし、現在のところ、UAとGA4の機能の違いがまだ存在するため、GA4への移行には適切な準備が必要です。さらに、現在までに蓄積されたデータの移行には、時間がかかる場合があるため、移行には時間をかける必要があります。ただし、将来的には、GA4がより強力なツールとなり、ウェブ解析の分析方法が変わることが期待されます。
まとめ
Webアナリティクスの最新動向であるGA4には、UAと比べて多くの改善点があります。GA4では、ユーザー行動の予測やAIによる分析の活用、カスタムデータセットの導入など、より詳細な情報を提供することができます。また、ユーザー中心のアプローチにより、より正確な分析が可能となりました。
しかしながら、GA4はUAとは全く別の仕組みを採用しており、データ取得の仕組み、ユーザーの測定方法、イベントトラッキングなどの機能に違いがあるため、UAからGA4への移行が必要となります。
GA4の移行には、準備期間やデータ移行方法、初期設定などの手順がありますが、今後のWebアナリティクスの方向性が変わると考えると、早めの移行が必要となるでしょう。
GA4の今後の改善予定や移行がもたらす影響についてはまだ明確になっていませんが、より詳細な分析が可能になることは確かです。Webアナリティクスを活用する上で、UAとGA4の違いを理解し、移行について検討することが重要です。
