WordPressをローカル環境に構築
WordPressのテーマやプラグインの開発、カスタマイズのテストを行いたいとき、本番環境で作業するのはリスクが高すぎます。そんなときに必要なのが「ローカル環境」です。
ローカル環境とは、自分のパソコン内にWordPressが動作するサーバー環境を構築することです。本番サイトに影響を与えずに、安全にテストや開発ができます。
本記事では、初心者でも簡単にローカル環境を構築できる「MAMP」を使った方法を、28枚の図解付きで詳しく解説します。
この記事で分かること:
- MAMPのインストールから初期設定まで(約30分)
- データベース作成とWordPressインストール手順
- バーチャルホスト設定で複数サイトを構築する方法
- よくあるトラブルと解決方法
対象読者:
- WordPressをローカル環境で動かしたい初心者
- テーマやプラグイン開発をしたいエンジニア
- 本番サイトに影響を与えずにテストしたい方
それでは、順番に見ていきましょう。
MAMPとは
MAMPとはmacOSやWindowsパソコンにローカルサーバーを構築できるソフトウェアです。MAMPはMacintosh、Apache、 MySQL、 PHPの頭文字を取った略語ですが、Windowsでも使えるのでご安心ください。
今回はWindows10のパソコンにMAMPをインストールして、Wordpressが稼働するまでの手順の説明となります。
💻 MAMPローカル環境の全体構成
あなたのパソコン(ローカル環境)
MAMP(サーバー環境)
WordPress
💡 ポイント: MAMPは、Webサーバー(Apache)、データベース(MySQL)、プログラム言語(PHP)をパッケージ化したツールです。これらをまとめてイン ストールすることで、WordPressが動作する環境を簡単に構築できます。
MAMPのインストール

https://www.mamp.info/en/
まずはMAMPをダウンロードするために公式ページを開いて、「Free MAMP Download」をクリックしてください。

画面が遷移するとMacかWindowsか選べるので、ご利用のOSに合わせてリンクをクリックしてダウンロードします。

ダウンロードしたファイルをクリックして実行すると上記のようにデフォルトで有料の「MAMP PRO」にチェックが入っているので、チェックを外して、Nextをクリックします。

I accept the agreement にチェックを入れて、Nextをクリックします。

インストールするフォルダを聞かれるので、任意のフォルダを入力してNextをクリックします。

メニューに表示するか聞かれるので、そのままNextをクリックします。

デスクトップにアイコンを作るか聞かれるので、そのままNextをクリックします。

Installをクリックするとしばらく時間が掛かりますので気長に待ちましょう。

上記の画面が表示されたら、Finishをクリックしてインストールは終了です。
MAMPの初期設定

インストールが終わったらMAMPを起動します。

MAMPを起動してStartを押すと上記のように警告がApacheとMysqlで2回表示されるので、両方にチェックをいれて「アクセスを許可する」をクリックします。

環境によってはMySQLServerに緑のチェックが付かず、phpAdminの画面でエラーが出る可能性があるので、ファイアーウォールの設定を規定値に戻したり、一度、セキュリティ関連の項目をオフにして起動してみましょう。
MAMPが起動したら、セキュリティを全てオンに戻して作業すれば特に心配はありません。注意点としてはMAMPが動いて嬉しくなって、セキュリティをオフにしたまま作業してしまうことです。
セキュリティをオフにしたら、必ずオンにしてから、作業を開始してください。オフにしてオンにした後にWindowsセキュリティの重要な警告が表示されますので、ApacheとMysqlの両方をアクセス許可するのを忘れないでくださいね。
次に各項目についてそれぞれ使い方をチェックしてみます。

MAMPの左上にある「MAMP」をクリックして、「Preferences」を開いてみましょう。
1.General(Start/Stop)

Preferencesを開くと、最初にStart/Stopのタブが表示されます。
MAMPを起動するとき
□MAMP起動時にサーバを起動
□MAMP起動時にMAMP PROを確認する
□起動時オープン
MAMPを停止するとき
□MAMPを終了するときにSeversを停止する
それぞれの項目をGoogle翻訳で簡単に日本語化しました。
When starting MAMP
□Start Servers When starting MAMP
この項目にチェックを入れるとMAMPを起動したらサーバーも起動されます。
□Check for MAMP PRO when starting MAMP
この項目にチェックを入れると起動時にMAMPPROを勧められます。
チェックを外しておいて問題ないでしょう。
□At startup open
この項目にチェックを入れておくと、MAMPを起動したら、自動的にブラウザで
「 http://localhost/MAMP/ 」が開かれるようになります。
すぐに作業することを考えるとチェックを入れておいても良いと思います。
When stopping MAMP
□Stop Severs when quitting MAMP
この項目にチェックを入れておくとMAMP終了時にサーバーも終了されます。
常時起動しておきたい場合はチェックを外しておいて、作業する時だけサーバー
を起動しておきたい場合はチェックを入れておきましょう。 
2.Ports

次にPortsのタブを開いてみます。
この項目ではApacheやNginx、MySQLのポートを指定することができます。
他にサーバーを起動していて、別のポートを設定する時に利用する項目ですね。
特に他にサーバーを起動していなければ、デフォルトのままで大丈夫です。
3.PHP

次にPHPのタブを開いてみます。
このタブではPHPのバージョンを選択することができます。
ここもデフォルトのままでOKです。
4.Web Server

次にWeb Serverのタブを開いてみます。
このタブではWebServerをApacheかNginxのどちらを使うか選択できます。
Document Rootの項目はどのフォルダをRootフォルダにするか選ぶことが可能です。
この項目もデフォルトのままでOKです。
5.MySQL

次にMySQLのタブを開いてみます。
このタブはMySQLのバージョンが表示されるだけですね。
データベースの作成
MAMPの設定項目について一通りチェックしたら、次にデータベースの作成に入ります。
MAMPの「Open WebStart Page」をクリックするか、「 http://localhost/MAMP/ 」をブラウザのアドレスバーにコピペしてみましょう。

上記のようにMAMPの管理画面がブラウザに表示されるので、赤い矢印のリンク「 phpMyAdmin 」をクリックします。

phpMyAdminの管理画面が開かれますので、Languageの右側のEnglishをクリックして、日本語に変更します。

日本語に変更されたら、データベースをクリックします。

データベース名の部分に任意の文字列を入力します。
今回はバーチャルホストの機能を使って複数のWordpressサイトを構築する方法をご紹介するために「wp_test_81」と「wp_test_82」を作成しました。
複数サイトの設置や構築の練習になりますので、任意の名前のデータベースをいくつか作ってメモしておいてください。

入力した任意の文字列が表示されたらデータベースの作成は終了です。
WordPressのダウンロード
次はWordpress公式サイトからのWordpressの本体をダウンロードします。
日本語 – WordPress
https://ja.wordpress.org/

サイトを開いたら、WordPressを入手をクリックします。

ページが移動したら、真ん中のWordPressをダウンロードをクリックして、WordPress本体をダウンロードします。
ダウンロードしたら、zipファイルを展開しておきましょう。
バーチャルホストの設定
MAMPはバーチャルホストの機能を有効にすることで、WordPressを複数設置することができます。
データベースを作成し、それぞれのフォルダに展開したWordPressのファイルを設置することで簡単に複数サイトを構築可能であり、設定もテキストファイルを編集するだけですので、ぜひ覚えておきましょう。
1.httpd.confの設定
MAMPをCドライブにインストールした前提でご説明します。
C:\MAMP\conf\apache\のフォルダを開いて、httpd.confというファイルをまずはコピーしてすぐに張り付けしてバックアップのための複製を作りましょう。
バックアップを作成しておけば、後で名前を変更するだけで元に戻すことができます。
バックアップを作ったら、httpd.confをテキストエディタで開きます。

次に「 # Virtual hosts 」で検索をして、上記の箇所を表示します。
# Virtual hosts #Include conf/extra/httpd-vhosts.conf
上記の部分の #Include conf/extra/httpd-vhosts.conf の # を削除します。

# Virtual hosts Include conf/extra/httpd-vhosts.conf
#を一つ消したら、一度保存して下さい。これでバーチャルホストが有効になりました。
次に使用するポートを増やします。httpd.confで「 Listen 80 」を検索します。
見つけたらすぐその下に増やしたいだけポートを追加しましょう。
# START MAMP: Please do not change next line Listen 80 Listen 81 Listen 82

今回は81と82の2つを増やして、2つのポートでWordPressを作成してみます。
ポートを増やす記述をしたら、保存してhttpd.confは閉じてOKです。
2.httpd-vhosts.confの設定
次は指定したポートにアクセスできるように設定します。
C:\MAMP\bin\apache\conf\extra\httpd-vhosts.confのファイルを編集します。
<VirtualHost *:81> DocumentRoot "C:\MAMP\htdocs\wp_test_81" </VirtualHost> <VirtualHost *:82> DocumentRoot "C:\MAMP\htdocs\wp_test_82" </VirtualHost>
httpd-vhosts.confの末尾に上記を追記して保存します。

次はwp_test_81とwp_test_82のフォルダにそれぞれのポートからアクセスできるWordPressをインストールします。
WordPressのインストール
C:\MAMP\htdocsのフォルダにwp_test_81とwp_test_82という形でフォルダを作り、WordPressのファイルをコピーしましょう。

コピーが終わったら、まずはlocalhost:81にアクセスしてみます。
localhost:81

localhost:82

localhost:81とlocalhost:82の両方でそれぞれのWordPressにアクセスすることができました。
次はWordPressのインストール設定をしてみます。

データベース名 wp_test_81
ユーザー名 root
パスワード root
データベースのパスワード root
データベースのホスト名 localhost
テーブル接頭辞 wp_
上記を入力して送信を押します。

画面が移動したら、そのままインストール実行をクリックします。

サイトのタイトル、ユーザー名、パスワード、メールアドレスを入力して「WordPressをインストール」をクリックします。

無事にWordPressをインストールすることができました。
次にWordPressが実際に動くのかチェックしてみます。
表示・動作確認

先ほどの画面でログインをクリックして、ログイン画面でユーザー名、パスワードを入力してログインします。

WordPressの管理画面にログインできました。次にサイトを表示でトップページを見てみます。

デフォルトのテーマでデザインされた初期ページが表示されました。次はlocalhost:82、wp_test_82の方もログインできるか試してみます。

localhost:82の方も無事にWordPressの管理画面にログインすることができました。
これでローカル環境でWordPressを好きなようにカスタマイズしたり、デザインの勉強やPHPやHTMLタグ、CSSなども自由に試すことが可能になります。
お気づきかと思われますが、MAMPもWordPressも無料で使えるので、有料のレンタルサーバーなどを契約しなくても、自分のパソコン内で無料で自由に構築できるようになりました。
本番環境と同じテーマやプラグインを導入して、記事やコンテンツもエクスポートしたものをインポートすることでローカル環境でテストすることもできます。
ローカル環境のWordPressを削除して再構築する方法
ローカル環境のWordPressが不要になった、または再構築するための手順を学びたい時があったとします。
今回であれば「wp_test_81」のフォルダにインストールしたWordPressを削除するのであれば、まずはフォルダ内のファイルとフォルダを全て削除します。
次にデータベースも削除すれば、wp_test_81のフォルダに作成したWordPressは削除されます。
再度、データベースを作成して、wp_test_81のフォルダ内にWordPressをコピー、ブラウザでlocalhost:81にアクセスすれば、WordPressを再構築することができます。
さらにローカル環境のWordPressを増やしたい場合
- httpd.confのListenポートを増やす
- httpd-vhosts.confのVirtualHostのポートとフォルダの指定を記述する
- データベースを新しく作成する
- フォルダを作成してWordPressの本体をコピーする
- localhost:の後に指定したポート番号を付け加えてブラウザで開く
上記の手順でさらに複数のWordPressを構築、設置することができます。
よくあるトラブルと解決方法
MAMPでWordPressのローカル環境を構築する際に、よくあるトラブルと解決方法をまとめました。
1. MySQLサーバーが起動しない
症状:
- MAMPの起動画面でMySQLのランプが赤いまま
- “MySQL Server could not be started” というエラーメッセージ
原因:
- ポート番号の競合(他のアプリケーションが同じポートを使用)
- 前回の終了が正常でなかった
解決方法:
方法1: ポート番号を変更する
- MAMPの「Preferences」→「Ports」を開く
- MySQL Portを 3306から3307や8889に変更
- MAMPを再起動
方法2: プロセスを強制終了する
# ターミナルで実行
  sudo killall -9 mysqld方法3: MAMPを完全に再インストール
- MAMPをアンインストール
- /Applications/MAMPフォルダを削除
- MAMPを再インストール
2. ポート番号の競合(8888が使えない)
症状:
- Apacheサーバーが起動しない
- “Port 8888 already in use” というエラー
解決方法:
ポート番号を変更する
- MAMPの「Preferences」→「Ports」を開く
- Apache Portを 8888から8890や9000に変更
- MAMPを再起動
- ブラウザでアクセスするURLも変更(例: http://localhost:8890)
3. データベース接続エラー
症状:
- WordPressインストール時に「データベース接続エラー」と表示される
原因:
- wp-config.phpのデータベース設定が間違っている
- データベースが作成されていない
- MySQLサーバーが起動していない
解決方法:
1. wp-config.phpの設定を確認
// wp-config.php の該当箇所
  define( 'DB_NAME', 'wordpress' );      // データベース名
  define( 'DB_USER', 'root' );           // ユーザー名(MAMPのデフォルト)
  define( 'DB_PASSWORD', 'root' );       // パスワード(MAMPのデフォルト)
  define( 'DB_HOST', 'localhost:8889' ); // ポート番号を確認2. データベースが存在するか確認
- phpMyAdmin(http://localhost:8888/phpMyAdmin)にアクセス
- 左側のリストに該当のデータベース名があるか確認
- なければ新規作成する
3. MySQLサーバーの起動を確認
- MAMPのコントロールパネルでMySQLのランプが緑色になっているか確認
4. 404エラー(ページが表示されない)
症状:
- http://localhost:8888にアクセスしても「ページが見つかりません」
原因:
- WordPressファイルの配置場所が間違っている
- バーチャルホストの設定ミス
解決方法:
1. ファイルの配置場所を確認
- WordPressファイルは /Applications/MAMP/htdocs/以下に配置する必要があります
- 例: /Applications/MAMP/htdocs/wordpress/
2. .htaccessファイルを確認
- .htaccessファイルが存在するか確認
- パーミッションが正しいか確認(644)
3. Apacheを再起動
- MAMPのコントロールパネルで「Stop Servers」→「Start Servers」
5. パーミッションエラー
症状:
- ファイルのアップロードができない
- プラグインのインストールができない
解決方法:
ターミナルでパーミッションを変更
# WordPressフォルダに移動
  cd /Applications/MAMP/htdocs/wordpress
  # wp-contentフォルダのパーミッションを変更
  chmod -R 755 wp-content6. PHPのバージョンが古い
症状:
- 「PHP 7.4以上が必要です」というエラー
解決方法:
PHPバージョンを変更する
- MAMPの「Preferences」→「PHP」を開く
- 最新のPHPバージョン(8.0以上)を選択
- MAMPを再起動
それでも解決しない場合
上記の方法で解決しない場合は、以下を試してください:
- MAMPのログを確認
    - /Applications/MAMP/logs/にエラーログがあります
- apache_error.logと- mysql_error.logを確認
 
- MAMP公式フォーラムで検索
- 別のローカル環境ツールを検討
    - Local by Flywheel(初心者に最もおすすめ)
- XAMPP
- Docker + WordPress
 
まとめ
WordPressについては、自分のパソコン内でローカル環境を構築できない場合、レンタルサーバーや広告の表示されるWordPress、または制限のあるWordPressでなければ無料では触ることが難しいです。
こうしてMAMPを利用して、自分のパソコンでローカル環境を構築できるようになればより深くWordPressを学べるようになります。
また、WordPressが何かの拍子に壊れてしまったり、動かなくなるという不安や悩みついても、ローカル環境で再構築やバックアップの手順をしっかりと学ぶことで、必ず解消されます。
普段なら試せないようなテーマ、プラグインの組み合わせなどもローカル環境で試してみることで、新しいデザインや機能についても詳しくなれますので、テスト環境、ローカル環境でWordPressを構築したいと考えたら、ぜひともMAMPを利用してみてください。
LOCALを使用する場合は下記の記事を参照してみてください。

XAMPPを使用する場合は下記の記事を参照してみてください。

RaspberryPi ZERO Wを使用する場合は下記の記事を参照してみてください。

 
											 
							
							
							
															 
							
							
							
															